初回 8日間の日数制限内にOmiaiからLINEへ。デートへ。そして伝説へ

前回 両家顔合わせが延期に



さっきパソコンでYouTubeを観てたらば、父親がひょこっと部屋をのぞいてきた。

父「あれからなんか言ってきたか?」

俺「あれって何よ」

父「きのうの顔合わせ。どうだったか、感想とか」

俺「あっこの感想?」

父「そう」

俺「いやべつに」

父「なんにもなかったんか?」

俺「なんにもってこたぁないけど、まぁ親関係の儀式がやっと終わったな、と」

父「たしかに儀式は終わったな。まぁ言うことはないかもな。だってとくに問題なかっただろう?」

俺「…うん。むこうのご両親もクセがなくてサッパリしていい人たちだったでしょう?」

父「いい人たちだった。ぜんぜん問題なかった。むしろこっちのほうが問題あるというか、クセが強いというか」

俺「ほんまにそうよ」

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ほんまにそうだった。すごくまともで礼儀正しい彼女のご両親にくらべて、うちの両親ときたら…。

ほぼ毎日ボウリング場に入り浸って遊びに明け暮れてますと告白する父親。

「あつこさんがどうしてこれを選んだのかって不思議で不思議で。私だったらもっといいイケメンを選ぶわ。近所に同じくらいの年の、結婚してない男の人何人かいるから今からでも紹介してあげましょうか?」と息子を下げる母親。

「いやいやそんなそんな」と彼女のお母さん。

「だって、この子一生結婚しないと思ってたんですよ。一生できないと。引きこもってばっかりだったから」

「いつぐらいから思ってたんですか?」

「高校生くらいから。なんか雨が降ったら学校行かない、みたいに不登校みたいなことしてたし」

「いらんこといわない」とおいら。「ご両親が不安になるでしょう」

「それに勉強もぜんぜんしなくてね」と続ける母。

「でも英語と国語がなぜかできて学年でトップだったんですよ」と急に自慢話に方向転換する母。

ちなみに国語で学年トップをとったことはないのはナイショ。

「それで早稲田を受けたときなんか…」

「もうそのへんにしとけ」、父とおいらが同時に遮る。

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一人四千円くらいのランチのあと(おいらが支払った)、彼女の家にお邪魔。

そこで彼女のお母さんがおいらの印象を語る場面があった。

「初めて会って話したとき思ったんです。『あぁ、いかにもあっこが選びそうな雰囲気の人だな』と。なるほどね~と」

その横であははと笑う彼女。

なんだかとても幸せそうに見えたのはナイショだ。

でも、どんな雰囲気なんだろ、おいら。もっと突っ込んで訊いてみたらよかったわ。

ねぇ奥さん、ほんとうはこういうのお好きなんでしょ?