肉のサトウ商店っつー県下最安といわれる焼肉店に行ってきた。父、母、おいら三人で会計3,630円也。


帰り道、安い肉で胃袋を満たしてご満悦なおいらは、その頭陀袋にビールとアイスを流し込んでみるのもオツではないかと思いつき、家の最寄のコンビニ駐車場に車を入れた。


運転席からおりてドアをバン!と閉めた瞬間、視界の端のほうから視線を感じた。そちらを見やると、店の端っこで煙草を吸っている乙女と目が合った。


年は二十代半ばくらいだろうか。マスク越しにも可愛らしい顔をしているのがわかる色白の乙女である。ゆるくウェーブのかかったロングの黒髪、清潔感のある白のブラウス、そしてボトムズはデニムのスキニーパンツ。


煙をふーっと吐きながら、おいらの方を細めた目で見つめてくる。マスクの下はどんな表情をしているのであろう。これほどマスクが憎いと思ったことはない。入口に向かいながら、おいらは視線で追われている気配を背中にひしひしと感じる。


そっかー、おいらに一目惚れしちまったか。でもなー煙草吸ってるのはマイナスだな。せっかく苦労して禁煙したのに、もし彼女と付き合ったら、ついついもらい煙草なんかしちまって元の木阿弥になりかねん。でも二十代の激カワ乙女だしなー。うーん。


買い物を済ませて店の外に出ると、まだ乙女は喫煙所にいた。煙草は吸い終わっていた。


車に乗り込むおいらのほうをちらっと見てくる。


シートベルトをしながら、嗚呼、おいらにナンパ師の三分の一でも勇気と図々しさがあればなあ・・・と思っていると、左隣の駐車スペースに軽四が入ってきた。


中から出てきたのは身長180cmくらいのすらっとした男性。髪はツーブロックとパーマ。着こなしも憎らしいほど決まっている。


彼は立ち止まってキョロキョロするが、乙女に気づいて首が定まる。


乙女のほうに歩きながら「俺だよ」の合図にマスクを一瞬下にずらす。


顔・・・瑛太にクリソツ。


乙女・・・マスク越しにもわかる満面の笑顔。


手を取り合って軽四に向かう。


おいらのフィットの前を通る乙女。横から見るとC~Dカップはありそうだった。


瑛太が自由にできる膨らみである。


帰宅したおいらはコンビニで買ったスーパードライをあおった。瑛太はあの膨らみを好き勝手する自由があり、おいらは右手に持っているこの缶をくしゃくしゃにする自由がある。


ビールの苦みがなんだか人生の苦みそのものに思えて美味しくなかったのはナイショである。

瑛太に乾杯!もとい完敗!




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