初彼女のNさんと別れたのが2020年11月11日。
以来、ご承知の通り、彼女ができる気配すらない。
ふとした瞬間にこんなふうに思うことがある。
Nさんと過ごしたあの日々は本当に存在したのだろうか、と。
じつは、自分はまだ彼女いない歴=年齢を更新中で、そんな受け入れがたい現実に対するいわば防衛機制として、自我が、あの苦しくも素晴らしかった日々を捏造したのではないか、と。
またある瞬間にはこんなふうにも思う。「彼女がいるってどんな感じだったかな」と。
そんな瞬間にNさんのLINEを開いてみることがあるのだ。
一週間ほど前にも、そんな瞬間が訪れた。ふいに心のなかに吹き込んできた隙間風。冷蔵庫の奥で人知れず腐敗していくバターのような異物感と冷ややかさをあとに残していった。
指がひとりでにLINEのアイコンをタップし、「友だち」欄のNさんをタップしていく。そして「タイムラインの投稿」欄へ・・・。
4、5件ほどあった「プロフィール変更」や「画像変更」の履歴がきれいさっぱり消えていた。
おそらくブロックされたのである。
交際中、常々Nさんはこう言っていた。「別れたからといってLINEをブロックする男は最低」だと。「だから私もブロックはしない」と。
そういうわけで、私をブロックしたということは、彼女の身にそれなりのことがあったはずなのだ。
彼氏ができたのだ、と私は推測する。それもただの彼氏じゃない。Nさんが待望していた、結婚を約束してくれる彼氏である。
その仮説は、Nさんがだいぶ前に【Pairs】(R18)から姿を消していたこととも符合する。
Nさんは、おそらくフィアンセができて、そのため、おそらく私をブロックした。
その仮説を前にして、とくに感慨はわいてこなかった。こんなとき、どんなふうに思えばいいのだろうか。
ただ、Nさんが、私に残したある言葉が蘇ってきた。別れを決めた通話での最後の言葉である。
「最後にひとつ言っていい?」とNさんは言った。「マー君はマー君が言うほど魅力ないことないよ。すっごく素敵だよ」
そうであったらいいが、と私は思った。
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