昨夜、TORIBUって焼き鳥屋でデートしてきますた。


歯並びさんから少し遅れるとの連絡があったので、薄着で来たことを
後悔しながらビルの外で待った。膝ががくがくわなわなするのは寒さのせいだけだろうか。


15分ほどして長身の女性が近づいて挨拶をしてきた。


前の彼女のNさん(30)と比べると、やはり顔に年齢が出ているけども、ペアーズの写真より美人だった。一気にテンションがあがる。


オーバーなリアクションをまじえて薄着に関する冗談を飛ばしながらエレベーターで5階へ。

扉が開くと、焼き鳥屋らしからぬオサレな空間が広がる。


予約してたソファ席に通される。


「初めて会うのがクリスマスってなんかすごいですよね笑」


「ほんとそうですよね笑」


屈託なく笑う歯並びさんを見る。髪は肩に届くか届かないかのショートで薄く茶色に染めてている。コートの下はベージュのワンピースで、思った以上のおっぱおのふくらみにめまいがしそうになる。


顔は彫りが深くて、可愛いというよりは美人タイプであるが、率直な笑みがずっと浮かんでて冷たい感じはまったくしない。それに表情がとても豊かである。


つきあいたい。


給仕の女の子がメニューをもってきたので、おいらは生ビールを、歯並びさんはサワーを注文する。

「わあコース料理頼んでくれたんですね! ありがとうございます」


「いえいえ。お酒はサワーがお好きなんですか? ビールは飲まれないのかな?」


「そうですね、サワーも好きだしハイボールも好きです。ビールは味が苦手なんです」


「お酒はよく飲まれそうですね、アプリのプロフィールを拝見するに笑」


「そうですね!笑 コロナ前はよく飲みに行ってましたけど今は家で晩酌してます」


すぐにお酒が運ばれてきて、我々は乾杯した。


「まさゆきさんは、お仕事終わっていったんお家に帰って来られたんですか?」


「そうですそうです。家は職場からすぐ近くなので。歯並びさんもお家寄られてきたんですか?」


「いえ、職場から直接来ましたよ」


「へえ、職場はここから近いのですか?」


「そうなんです。大学の職員をしてます。家はずっと南のほうなんですけどね」


「あ、奇遇! 僕も南のほうなんです。ずっと南のほうです笑」


「あの、中学校はどこですか?」


「◯◯中学ですけど」


歯並びさんは大きく目を見開いて驚き、ついで笑みが波紋のように広がっていった。


「私の先輩じゃないですか!笑 こんなことがあるなんて笑」



「まじっすか?笑 すごい偶然もあるもんだ」


我々は共通の知り合いについて話をした。とくに盛り上がったのは、中学の時の体育教師で、歯並びさんが所属してたバスケットボール部の顧問の「地獄のしごき」について。


「二年前に友達の結婚式で会いましたけど、すっかり丸くなってましたよ笑」


思わぬ共通点でいっきにうちとけた我々はいろいろな話をした。


「ペアーズでほかに会ってらっしゃるんですか?」


おいらが、毛玉だらけの服でデートに来たきょうこさんの話をすると、歯並びさんはおおいにうけて、おどけた仕草で自分の服に毛玉がないか確認してみせた。


元カノの
Nさん(30)のことも聞きたがったので、ざっくり話した。


歯並びさんは三ヶ月くらい前からペアーズを始めて、何人かの男性と会ったが交際までにはいたってないらしい。

メッセージではぐいぐい来てたのにいざ会ってみるとひどく緊張してほとんど話してこない男性、元カノの愚痴とかじぶんのことばかり話す男性、素敵だなと思ったけれど気に入ってくれなかった男性。


ペアーズでいいねをくれる男性は40代後半が多い。たまに20代からも来るが、前の彼氏が15歳上だったことからもわかるように、年下はあまり恋愛対象として見られないらしい。


「差し支えなければ、元カレと別れた理由をきいてみたいです」


「彼が県外に転勤することになったんです。私はついていって結婚もしたいと思ってたんですけど、彼からはそういう話がぜんぜんなかったので別れました。バツイチの人だったんですけどね」


「いちど結婚して、それがうまくいかなかったからもういいやって感じだったのかもしれませんね」


「そうかもしれませんね~」


「たしかに我々くらいの年齢になると、さきざきのことも見据えていかないといけませんものね。あまり時間がないというか」


「そうなんですよね」


言葉少なだが、実感のこもった返事だった。おいらは歯並びさんの結婚観を深堀りし(結婚願望はかなり高そうな感じだった)、それから仕事の話を振った。

就職氷河期の世代であること、ともにすぐには定職につかなかったこと、しかし今ではそれなりになってること。


そんな話をしていると戦友同志みたいな気分になってきた。おそらく歯並びさんも同じように感じていただろう。


楽しい二時間はあっというまに過ぎた。


一人あたり6,000円の会計をおいらがもつと、歯並びさんは恐縮して財布からお金を出そうとした。


おいらはそれを制した。「つぎのデートのときに払ってください。もちろんリーズナブルなお店にしときますのでご心配なく笑」


歯並びさんは笑って財布をひっこめた。


家がご近所さんだったので、帰りはタクシーに同乗した。


車内でLINE交換をもちかけると快く応じてくれた。


歯並びさんが降りる時、1,000円をわたしてきた。おいらはいちどだけ断ってうけとった。


「今日はありがとうございました!」


「ありがとうございました!」


帰宅後、LINEを送ってみた。

歯並びさん(39) その5 デート


一見楽しそうな返事がかえってきたが、「またお会いしたいので、空いてるときがありましたらよろしくお願いします!」に対してスルーされてる点が気になるところ。


デート中に「今度どこそこ行きましょう」っていろいろ誘ったときには笑顔で「行きましょう!」ってかえってたんだけども。


ひょっとして今回もおいらの独り相撲だったのかしら。。。

つづき】歯並びさん(39) その6 断られると思ってたら





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